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格子からの目

京町屋の室内は暗くて古い。それはけしてマイナス要因ではない。夏は温度差で風の通り道となり、冬はおくどさんの熱をためる。その暗さは通りの明るさをきわだたせ、あからさまに通りの様子をうかがい知る目となる。しかし外からは暗い室内は見えない、すなわち覗き窓になるわけだ。京都は時代ともに為政者が変わった土地だ。外部から権力が入ってきては去っていく、その栄枯衰勢をこの格子越しに人々はそっと覗き見て、自らは面に出ず、何代もに渡り生き続けたのだろう。さて今その目は何を見ているのだろう、何を思っているのだろう。
(西山遊野)

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by kac-web | 2006-11-19 10:49